僕とT君と彼の部屋。

僕とT君と彼の部屋。

May 09, 2011

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渋谷店に行くと、友人T君の部屋を思い出す。

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T君は酒と音楽と煙草とビリヤードと文学を愛する青年で、

大柄だけど無口で気の優しい、今でいう「癒し系」男子だった。

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僕はT君のアパートの部屋が大好きだった。

雑然と並べられたレコードや文庫本、

吸い殻で一杯の灰皿に十円玉がぎっしり詰まったピースの缶などに交じって

ウィスキーの空き瓶や、どこで拾ったか不明な玩具や

どこから持ってきたか不明な植木鉢などが文字通り散乱していて、

お世辞にも綺麗とは程遠い部屋だった。

でも僕はT君の部屋が好きだった。

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他人から見たらガラクタやゴミでしかないその一つ一つのアイテムが、

T君の持つ独特の空気感を増幅し、そこにいるだけで落ち着くのだ。

まるでその部屋がT君そのもの、という不思議な空間。

それが、20年前に足繁く遊びに行ったT君の部屋。

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渋谷店には、あの頃のT君の部屋と同じ匂いを感じる。

大好きな靴や履き古した靴に交じって中川代表がせっせと集めた小物たち。

それらが一つになり独特の空気を醸成している。

革靴と、このショップをこよなく愛する人たちのハートを感じる空間。

とっても懐かしく、胸が温かくなる空間。

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20年前のあのT君の部屋に戻ることはできないけれど、

いまの僕には渋谷店がある。

用もないのにフラッと遊びにいくのには、そういう理由があるのです(笑)。

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(byライターYM)