『靴』
『靴』
May 14, 2013
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皆様こんにちはベンチマークの馬場です。
かなりベタなタイトルですが少しの時間、御一読いただければと思います。
靴という物に携わるようになってからというもの、毎日数多くの靴を目の当たりにして
たまに一足手にしてこう想像する事があります。
「この靴は一体どれだけの人が手を加えて来たのだろうか。」
「どれだけの人が材料を作って、提供し靴として成り立っているのだろうか」
例えばアッパーの革を作っているタンナー屋さん。そこには数多くの人が働いて革を作っていたりします。
そしてその下に革を鞣すのに必要な染料や薬品をさらに作っている人が別にいたりします。
革一枚作るだけでも相当な人員を要していると思います。
その他に靴の土台となる木型を作っている人、
ソールやヒールなどの底材を作っている人、
釘やビスを作っている人、
アッパーやソールを縫い合わせる糸を作ってる人
道具を作ってる人、
さらにその他にも、
靴をデザイン・企画している人、パターンを作ってる人、サンプルを作ってる人、
ミシンを作っている人、接着材や溶剤を作ってる人、靴ひもを作ってる人、
つま先や踵の芯材を作ってる人、ハトメやフックを作ってる人、着色材を作ってる人、
コルクを作っている人、シャンクを作っている人、踵のスポンジを作ってる人、
削ったり、打ったり、穴をあけたり、圧着させたり、etc・・・の機械を作ってる人!
それらを流通させている人!! ・・などなど。。。(汗)
そこまでに関わっている人達、延べ数百人? 数千人??
ヘタしたら数万人の規模に及ぶ人たちが一足の靴に携わっているわけでして
その靴のスペックが上がるほど関わっている人も多くなると思います。
もちろんすべての部材が同じ場所や地域で作っているわけではなく
靴の種類やブランドによっては国境や海を越えて
放射状に張り巡らされた幾つものロードマップをそれぞれの部材が辿り
やがてそれらが靴職人達の元に届き一つの靴にまとめ上げられているわけです。
そんな靴職人に対して自分自身羨望を抱き、材料を集め靴作りを経験し
その達成感と満足感に陶酔しきっていた時期もありました。
しかしユニオンワークスに入ってリペアを経験する事によって
靴に対する見方が変わって行ったような気がします。
というのも、毎日仕事している中で多くのお客様からお預かりした靴に接する事で
「本当の靴の完成って履きこなして初めて完成と言えるのではないのか・・。」
履き込んで風合いが増した靴、中底がきれいに沈んでいたり、すこしのキズがアジに見える靴
様々な靴を毎日目にしてそんな風に考えるようになっていったんです。
もちろんすべての靴がそう言えるとは限りません。
季節物のサンダルやベビーシューズ、バレエシューズといった目的や用途に応じて使用する靴もたくさんあります。
しかし長く履ける靴を修理とケアを繰り返して自分で育てて行くのも靴のまた1つの魅力。
「皮」が鞣されて「革」になるところから始まるように
やがてそれが他の材料と組み合わさって
新しい「くつ」の「革」が「化」けて『 靴 』になる。
その本当の意味が最近自分なりに解釈できるようになってきた気がします。
( ユニオン入社7年目突入 BENCH MARK 馬場 )