今回でいよいよラストです。

最後はかなりのレア物で締めたいと思います。

 

 

 

 

 

ご紹介しますのはこちらのフルブローグ。

ちょっと空気感が違う1足。

 

 

 

まず注目したのはメダリオン。

このクリスプな断面と表情は今では良いビスポークシューズくらいでしか見られないんじゃないでしょうか。

素材の良さもあるでしょうし、仕事ぶりがうかがえます。

 

 

 

 

素材も素晴らしいと思います。

イギリスの茶と言えばな赤茶の所謂ウィローカーフ。

大変に肌理が細かく凄い革です。

平坦な印象なのは、今では当たり前のように行われている濃淡をつけたポリッシュがされていない為。

味付けしなくても十分その雰囲気は伝わってきます。

 

 

 

 

 

全体のフォルムも大変美しい。

もう言葉はいらないかもしれません。

思いつく言葉がすべてが安っぽく感じてきました。

 

 

 

 

ヒールのフォルムも素晴らしいですが、

ソールとの一体感が凄いです。

 

 

 

 

スプリットヒールではなく一枚物のソール。

当時としては高級仕様だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

ウエルトの目付やエッジの仕上げは年代物の雰囲気。

 

 

 

 

ソールはシングルレザーソール。

 

 

 

 

四角い釘がカッコいい。

 

 

 

 

ヒドゥンチャネル仕様ですが、

起こした革の仕上げもウイールを入れて処理をする仕事ぶり。

 

 

 

 

面白い点として、アウトステッチ（出し縫い）はハンドのようですが、

なぜかオレンジ色をしています。

理由までは分かりませんでした。

 

 

 

 

この素晴らしく珍しい靴は何かという事ですが、

ジェームス・アランというスコットランドのシューメイカーになります。

 

 

 

ワラントも持っていたスコットランドでは名のあるメーカーだったようです。

 

 

 

 

奇跡的に箱も残っていました。

 

 

 

 

なんとこの靴、1960年の靴でした。

12月9日の日付まで入っています。

 

 

 

 

創業は１７８３年。

 

 

 

エリザベスⅡ女王のお母さんと、

 

 

 

エリザベスⅡ女王のワラントを持っていたようです。

ただ、ワラントのデザインが違うなぁと思って調べてみましたら、

こちらのデザインの物はスコットランドにて使用されるデザインという事でした。

 

 

 

 

また一つ勉強になりました。

と、思っていたらこれを見つけてまた納得。

 

 

 

ウォーカーのパッケージ。

これもスコットランドでした。

 

 

 

 

 

話が逸れましたので戻します。

これがエドワードグリーン製だとわかるのがここ。

３３ラストの表記と９０３という表記。

９０３というのは旧体制時のフルブローグモデルの品番であることと、

３３ラストと言えばエドワードグリーン。

 

 

 

 

実は片足だけですが３３ラストの実物がお店にあります。

 

 

 

 

３３は３２ラストのスクエアトウタイプ。

 

 

 

 

旧グリーンのマルバーンと並べてみましたが、

デザインは1960年から変わっていないようです。

 

 

 

箱は残念ながらフタがありませんでしたが、下の本体が残っていただけでも大変な資料になりました。

靴自体も60年前とは思えないほどの状態で残っているのは本当に奇跡的だと思います。

個人的には大変な資料価値のある1足に感じています。

恐らく同じ状態の物は存在しないのではないかと思います。

コレクション用と言いますか資料用として保存すべき個体だと思っています。

会社の資料用にと思ってご紹介するのを悩んでいましたが、

大変珍しい物なのでご紹介してみようと思いました。

もし、こういったものがお好きで大切にしていただける方がいらっしゃいましたらご相談ください。

 

 

さて、大変たくさん記事をあげましたがこれにて終了となります。

読んでいただいた方、長らくお付き合いいただきましてありがとうございました。

ご紹介した靴はすべて新宿店にて並べてありますので、

お好きな方にとってはご覧になるだけでも楽しめる内容かと思います。

それでは、皆様のご来店お待ちいたしております。

 

 

ユニオンワークス新宿　花田