シューケアについて②
シューケアについて②
Dec 12, 2023
- CATEGORY
- INFORMATION
- BLOG
- SHOE CARE
先日、シューケアについてユニオンワークスの考えをご紹介しました。
もうちょっと詳しく聞きたいとの声もありましたので、今回は少し具体的な内容にアップデートしました。
重複する内容もございますが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
まずシューケアの目的は ”革を良好な状態に保ち、長く履けるようにする” です。
革は使用を続けると繊維から油分が抜け乾燥し、柔軟性を失って革の硬化、クラック(ひび割れ)に繋がっていきます。
良いコンデションを保つためには水分、油分を補う必要が出てくるわけです。
したがって”適切なベースケア(保湿保革)”を最も重要と考えています。
適切なベースケアとは適度な靴クリームの補給とたまの汚れ落とし。
しっかりと乾拭きをして、表面がベタついた状態にしないことです。
様々な靴クリームがありますが、このブログではメジャーな乳化性クリームを使ってケアしていきます。
乳化性クリームとは水、オイル(油)、ワックス(ロウ)の3つの主成分を界面活性剤や有機溶剤にて溶かし、乳化させたモノです。
水(加湿)、オイル(保革)は革の内部に浸透し、潤いと柔軟性を。
ワックスは表面に残り、ブラッシング、乾拭きをすることで表面が平滑になり光沢を出すといった効果があります。
基本的なケア方法は
まずはホコリを落とし
クリームを薄く均一に塗って
ブラッシングで革に浸透させます。
最後に革の表面に余分なクリームを残さないよう、しっかりと乾拭きをして完了です。
シンプルで簡単な作業ですので、慣れてる方なら5~10分程で済みます。
クリーナーは毎回使用する必要はなく、クリームは数回なら塗り重ねても問題ありません。
クリームに含まれる溶剤が古いクリームを溶かし、新しいクリームと混ざり合うためです。
そこにブラッシング、乾拭きをすることで汚れ落としにもなります。
基本的には靴クリームで適切にケアをしていれば問題ありません。
ただし、何度も繰り返し塗り重ねていくうちに酸化した古いオイルや硬化したワックスが革の柔軟性を低下させ、硬化しクラックの原因となったり、
拭き取りきれず表面に蓄積したワックスによって新しく塗ったクリームが浸透していかなくなります。
こういった場合はクリーナーでしっかりと汚れを除去する必要があります。
※クリーナーは適切に使えばスッキリと汚れを落とせますが、扱いを間違えると革を傷めることになりますので注意が必要です。
逆に間違ったケアをすると、革に良くないこともあります。
それが ”いい加減な乾拭き” と ”鏡面仕上げの放置” です。
乾拭きは磨きの最終工程で、余分なクリームを取り除き表面を平滑にすることで光沢が出ます。
これを怠ると表面がベタつき見た目も良くありませんし、埃が吸着しやすくカビ発生の原因になることも。
そして鏡面磨きの放置について。
鏡面磨きはワックス(ロウ)を何層も塗り重ねて毛穴の凹凸を埋めることで革の表面がフラットになり、まるで鏡のように光が反射するといった仕上げ方法です。
ベースケアにはない光沢が得られますが、そのままにしておくと様々な問題が起きます。
鏡面になっている部分はワックスの厚い被膜に覆われていますのでクリームは浸透しません。
放置すると革の乾燥、劣化が進みます。
また、雨対策に良いという説もありますが、確かにワックスに覆われていれば水をはじきます。
しかし、ウエルトのキワまでは覆えません。
そこは水が溜まりやすい箇所であり、結局はアッパーに染みあがってきます。
ウエルトも水分を含めば尚更です。
乾燥した革の状態の靴だったらより顕著に染みあがり、ボコボコとした染みができやすくなります。
潤いが保たれている革だと、多少濡れても含まれた油分により、
急激に革の繊維がふやけて固まる(ボコボコの染みになる)のを和らげてくれます。
雨対策においても、普段からのお手入れが大事だと言えるかと思います。
ウエルトにもしっかりクリームを入れるのもポイントです。
鏡面磨きはあくまで化粧であり、基本的に革に良いことはありません。
そのまま放置というのは様々な弊害を招きます。
ハレの日など、TPOに合わせてポイントでおこなうのが良いのではないでしょうか。
どこかで読んだ「ハイシャインはパーティーメイクだ」というワードがしっくりきます。
化粧と同じでいつまでも放置するのではなく、シーンが済んだら落としましょう。
(決してハイシャイン自体を否定しているわけではありません。ご希望があれば喜んで磨かせていただきます。)
また、硬化したワックス層を一般的なクリーナーで落とす事は困難で時間がかかります。
ハイシャイン用クリーナーというアイテムがありますが、一般的なクリーナよりも溶剤の含有量が多く、
使い方を間違えると革へダメージを与えてしまいますので、使用する際は要注意です。
ご自身でワックスを落とすのが心配な方はご相談ください。
日々のブラッシング、ベースケアによって毛穴の凹凸は徐々に小さくなります。
これが”革が育つ”と呼ばれる過程。
時間をかけてケアしてきた靴はクリームだけでも新品の頃とは見違えるように光りますし、鏡面磨きとは異なる魅力があり目を惹きます。
我々が目指すところはココなのです。
人工的に短時間で光らせるではなく、あくまで革のコンディションを第一に考え、
靴と長く付き合っていく過程でそれぞれ革ごとのポテンシャルを引き出し、ともに成長していく。
それが理想であり、ユニオンワークスが考えるシューケアです。
簡単にまとめると
・基本的なシューケアは日々のブラッシングにクリーム、たまのクリーナーで十分。
・磨き終わりはしっかりと乾拭きをし、余分なクリームを残さないこと。
・ハレ舞台等、ここぞ! という場面での鏡面磨きは良いと思いますが、シーンが終わったらしっかり と落とすことが大事。
ということです。
少々長くなりましたが、ざっくりとシューケアについて説明させていただきました。
様々な考え方がありますが、ご参考になれば幸いです。
ありがとうございました。
ユニオンワークス