ふと思ったこと。
ふと思ったこと。
Dec 06, 2014
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渋谷のお店にはこんな雑誌があります。
お客様とお話する際に使っているテーブルの下に、この雑誌は置いてあります。
ずいぶんと古いものですが、それもそのはず、、
1989年発売。
25年も前の雑誌です。
なぜそんな古い雑誌が今も大事にとってあるのかというと、
当時としてはこういった靴の特集をした雑誌というものが珍しかったそうです。
今ではそういう雑誌を沢山手にすることができるようになりましたが、
当時はまだまだ靴を修理して履くというイメージがあまり無かったように思いますし、
時代もあってか、買い換えていく割合がとても多かったと思います。
それ故、クラシックなイメージの強い伝統的な靴は、今ほど注目される存在では無かったようです。
そんな背景もあってか、当時の靴好きの方たちにはとても楽しく貴重なものだったんでしょうね。
イギリス靴にスポットを当てた構成になっているためか、
偏った見方にもみえる文章もありますが、その切り口というか、当時の背景が伝わってきそうな面白い文章だと感じます。
(アメリカやイタリアの靴がダメなわけじゃありません!)
エドワードグリーンや、
トリッカーズなど、今ではとてもメジャーな靴はもちろん、
もう閉店してしまいましたが、ワイルドスミスのページなどもあります。
そのほかにも、フォスター&サン、ポールセンスコーン、ジョンロブ、クロケット&ジョーンズ、チャーチ、、
名だたるメーカーやブランドのページがあり、当時の背景を知れるとても面白い内容です。
そしてどれも、大事に修理して履くこと、革製品の変化して行く様、イギリス靴の魅力が一貫して書かれています。
そこに載せられている靴たちは、今では古い貴重な靴として見られている靴が当たり前のように出ています。
当時は、そこにあるその靴が何年か後にそんな見方をされると考えていた人がどれほどいただろうと思います。
先のことは誰も分りませんが、また今から何年か後に同じことを感じる日が来るかもしれません。
「昔の革や造りはよかった」
そう感じられることは多いかと思います。
確かにそのように感じます。
そこには、物価の上昇、需要の増加、動物保護の為の規制などがあって、
効率的にせざるを得ないこと、使いたくても使えなくなってしまった物、高価になっていった物、
様々な理由があると思います。
時間の経過とともに変わってきたそんな背景の下、
極力プライスやクオリティーを維持する為の企業努力も、
きっとあるはずだと思います。
今、当たり前のように目の前にある靴たちも、
何年か後にはどうなっているのか!?
とても興味深いところです。
あのとき手に入れておけばよかったな、手に入れておいて良かったな、
と、思うことはそれぞれあるかもしれません。
でも、そうやって先のことがわからないから面白いのかもしれません。
今、手にしているものが何年も時間が経って、
そのときのものと比べてどうなっているんでしょう??
心惹かれるものがあったなら、手に入れておこう。
そして、今あるものは大事にしていこう。
と、思いながらお預かりした靴を磨いて仕上げた今晩でした。
渋谷店 花田